2003年3月

・フォレストガンプ(1994年/米)
  監督:ロバート・ゼメキス
  男優:トム・ハンクス、ゲイリー・シニーズ
  女優:サリー・フィールド

ジェニ−のこども時代を演じた、ハンナ・ハル。
「あの彼女」に少し似てる。ジェニーといいロリータと
いい、急に出ていくアメリカ女の自分勝手な(ある時は
自己満足的)感じはどうも好きになれない。その行動が
話をさらにドラマチックにするのは判っていても。
しかし純真無垢であるということはなんと尊いことか。
と同時に、この映画で感じる最大の事は、
  「幸せな時間は長く続かない」
フォレストが走ってて車のはね泥で汚れた顔を黄色い
Tシャツでぬぐったら、その泥は、あの小学生の頃に
流行ったピースマーク。ケネディやニクソン、ジョン
レノン達とのデジタル合成もおもしろい。というか、
70年代のあの一連のアメリカの出来事が判ってないと
おもしろ味に欠ける映画かも。

ジェニーのお墓の前で、初めて顔をくしゃくしゃにし
初めて感情をあらわにして泣くフォレストに涙したり
「好きな映画は、フォレストガンプです。」そんな風に
言える女がきっと、幸せになれるんやろなぁ。


・ニューシネマパラダイス(1989年/伊)
  監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
  男優:フィリップ・ノワレ、サルバトーレ・カシオ

イタリアの田舎を舞台にした、老人の映写技師、
アルフレッドと映画好き少年トトの話。音楽も美しい。
「映画らしい映画」の定義が何かはよく判らないが、
「映画らしい映画」を見た気になる映画。

村から出ていかせる為、アルフレドがトトに、
「おまえに会いたくない、おまえの噂を聞きたい」
「一度村を出たら、しばらく帰るな。年月を経て
 帰郷すれば、友達やなつかしい土地に再会できる」
道行く人の顔は多くは知り合いな、小さな町で育った
私はこの台詞が沁みた。映写機の光しか通らない、
小さな小窓を覗く人生より、もっと自由な広い世界で、
愛するるトトの人生が大きく育つことを望んだのだ。

最後の、キスシーンばかり集めたフィルムを流し、
初めてそれを見るトトのシーン。隠してあった(わざと
とってあった)あのフィルムと、アルフレッドがトトを
思う気持ちがだぶる。映画の中でもジーンときたり、
感動的に映すシーンの象徴である”キスシーン”(特に
あの時代は”キスシーン”は大事なファクターだった
ような気がする)と、なによりもトトの成長を願った
アルフレッドが隠した、自分の罪と想い。
「本当に大事なもの」は、いつも缶の中にひっそりと
しまわれるのか。

結果としてアルフレドが偽ったことで、大切な人と結ば
れる事は叶わなかったけど、それと引き換えにトトは、
「自分が成りうる自分」になった。
あのフィルムを見て、アルフレドの大きな愛情にトトは
あらためて気がついたのだろう。最後のシーンのトトの
涙は、その愛を心底気づいた涙だ。せつないなぁ・・・
大切なものに気づくのは、いつも無くしてからだ。
テレビやビデオの娯楽で追いやられた映画館も、あんなに
愛してくれたアルフレッドも。

人々の優しさや暖かさが、心にじんわりと染みてくる、
いい映画。


・アマデウス(1984年/米)
  監督:ミロシュ・フォアマン
  男優:フランク・マリー・エイブラハム
     トム・ハルス

しかしまぁ、モーツァルト役のトム・ハルス。
白く大きな顔に、大きな口。役柄はぴたりだが、実に実に
”典型的、私好みではない顔”の俳優だ(すまん)
オペラが見たくなる映画。特に「三文オペラ」。
オペラやクラシックに造詣が深ければ、もっと楽しめる
映画なのだろう。

「私の歌が要らないのならば、どうして歌いたいと思わせ
 た。神よ、あなたは不当だ。私に欲望だけを植え付け、
 才能を拒んだのだから。」
”天才が解る凡人”のサリエルも、確かに非凡ではあるの
だけど、秀才はどこまでいっても天才にはなられへん。
天才を理解する才能だけを与えられる残酷さ。そして憎む
べき才能を愛してしまう残酷さ。このサリエルが、
”ただの嫉妬深い、心の狭い”男なだけと、誰が笑える?
神様は罪だ・・・。


・狼たちの午後(1974年/米)
  監督:シドニー・ルメット
  男優:アル・パチー、ジョン・カザール
     ジェームズ・ブロデリック
  女優:ペニー・アレン

えー、告白します。
実は、「アルパチーノ」というお方を初めて見ました。
榊原郁恵の「アルパチーノの真似なんかしてちょーっと
ニヒルに笑うけど♪」の歌で、ほぉ、アルパチーノとは
そんな表現に使われるほど「ええ男の代名詞」なんや程度
のことしか知らなかった。

原題は「Dog Day Afternoon」まさに“犬たちの午後”。
度胸も知恵もない、小心者な素人強盗を描いた映画。特に
サルは小心で最後は本当に「犬死」だった。実話らしいが
素人が銀行強盗をしても現場では情けないくらい短絡的な
考えしかできず、それに比べて女子行員達のなんと肝の
すわったこと。これはもしや、コメディ映画だったのか?
インソムニアを見たくて、その予習に昔のアルパチーノを
見ておこうと思ったのだが、”今現在の感想”で言うなら
この若く目のぎょろついたアルパチーノはもう一つ魅力を
感じない。花緑の方がよっぽどセクシー。

ところで「アティカ」ってどんな意味か、知ってる人は、
メールプリーズ。


・戦場のピアニスト(2002年/仏,独,ポー,英)
  監督:ロマン・ポランスキー
  男優:エイドリアン・ブロディ

  「芸は身を助ける」
1939年のポーランド。ナチスから生き延びたユダヤ人の
ピアニスト、シュピルマンの実話。ただひたすら隠れ逃げ
そして生きていくストーリーで、”映画らしい”、派手で
ドラマチックな展開はないがこれが生身の人間に起こった
実話なんだ、と頭をバックさせると、なんともやるせない
気持になる。「不条理」を絵に描いたようなユダヤ人への
虐殺は本当にひどいが、現代のドイツ人の多くは、
「もうええかげんにしてくれよ」と思っているかも。
廃墟になった病院の中、薄れゆく意識の中で目を閉じ、
あるはずのないピアノを弾いていた姿もせつない。
ドイツ将校に見つかりピアノを弾くように言われたときの
あの演奏。多分彼はこれが最後の演奏だと思っただろう。
それまで抑えられていたピアニストの想いが解き放たれた
ような演奏が、悲しく胸にせまる。

最後の終戦のシーンで、心身ともに解放された気分になり
「やっと終わった」とほっとする。ラジオ局でまたピアノを
また弾き始めるシュピルマン。侵攻前と変わらぬ涼しい顔で
淡々と弾いているが、音色が違うく聞こえる人は、戦争を
現実のものとしてとらえてる人だけだろう。
見終わってから、気分が晴れるまで時間のかかる映画だ。

折しも今日、フランスのシラク大統領が対イラク武力行使
容認の決議案に対し「フランスは反対する」と、拒否権を
発動した。サル山のボスの振り上げた拳は、誰かを殴らない
かぎりおろすことができないのだろうか。そして、一方で
イラク復興支援金を捻出し、復興対策の入札を早くもおこ
なっている・・・


・チョコレート(2002年/米)
  男優:ビリー・ボブ・ソーントン
     ピーター・ボイル、ヒース・レンジャー
  女優:ハル・ベリー

保守的なアメリカ南部のある町で、黒人に偏見を持つ刑務
看守ハンクと、そこで処刑された死刑囚の妻で、黒人女性
レティシア。いつしかお互いを求めるようになる二人だが
ハンクが自分の夫の死刑を執行した男だと、レティシアは
まだ知らない・・・

主演のハル・ベリーが、歴史をぬりかえ黒人女性初のアカ
デミー主演女優賞を受賞した作品。(力強く美しい女優で
とてもカッコイイ)内容も黒人差別がのっけから出てくる。
静かだけど力強く深みがある作品。これは昔の話でなく、
現代の話。まだまだ差別主義は、色濃くアメリカに残って
いるのだなぁ、と改めて気づく。

セックス描写は確かに過激だが、初めてと2度目とでは、
お互いの気持ちの違いが見られてとても興味深いシーン。
しかしハンクはすごく単純な男だ。黒人差別も父親を見て
育って意味なく意志なくそうしてるだけだし、常連の娼婦
には「痛くしないでね」と言われるが、レティシアには
「痛くなかった?」と。なんと判りやすい単純なやつ、と
苦笑してしまった。気持と行動が直結したそんな男だから
あっさり父親を老人施設に入れてしまうのだ。父親もいれ
られてしまうだけの理由のある父親だったが、父親もまた
祖父にそういう教育(黒人蔑視)を受けたのだろう。受け継
がれる間違った教育。この辺りにもアメリカの陰がある。

この映画のコピーの、「たかが愛の、代用品」。
チョコを食べると恋愛時の高揚した気分と同じ感覚を刺激
するらしい。 カフェでハンクはいつも一人でチョコレート
アイスを食べていた。きっと無意識の内に寂しさを埋めて
いたんだろう。最初はそれぞれの息子を亡くしたその穴を
埋めるかのようにお互いを求めて始まった二人。邦題の、
「チョコレート」は「されど」いつしか心から愛してしま
ったレティシアの「褐色の肌の色のこと」かもしれない。

ただこの映画筋書き通りにはいかないウェット感がある。
最後は一緒に暮らし始める二人だがハッピーエンドのよう
でどこかすっきりしない。それは甘い恋物語のようだけど
どこで芽を出すか判らない心の狭さ、偏り感、人間のグロ
テストな部分を感じるからだ。(実際二人はお互いの気持
以外は、何も解決していない)

彼女が全て知ってしまった事を何も知らず、レティシアに
スプーンでチョコレートアイスを食べさせようとするハン
ク。「うまくいくさ」という彼に清濁あわせたこの運命を
飲み込めるのかそれさえも判らない表情で、静かに食べる
レティシア。その味はきっとビターだったに違いない。
でも二人にはうまくいってほしい。その交わしたアイスは
「愛の代用品」でなく「愛そのもの」なのだから。


・天空の城ラピュタ(1986年/日)
  監督:宮崎駿

空想冒険物語?というものなのか。
残念ながらまったく私好みではなかった。が子供がいたら
ドキドキさせながら見せたいかな、と思うそういう映画。

シータのラピュタ名はリュシータ・トエル・ウル・ラピュタ。
音楽、ストーリーは、もちろん削りに削られ研がれたもの
なのだろう。「ラピュタ」という単語の持つ語感は、古代
・夢・自然・風・岩・太陽・旅等々、とても想像をかきた
てられるものがある。
きっとそういう「選ばれし精鋭達」が一つ一つが集まって
ああいう作品が出来上がると思うと、なんと気の遠くなる
作業か。

宮崎作品はこれでやっと三つ目。
犬が谷から落ちたり、千尋が階段から転げ落ちたり、少女
が天から落ちてきたり、「落ちるシーン」に何度もヒヤリ。
たいていは助かるのでほっとするが、これって戦略?
ひやり→助かって安心、で、少年少女達は一気にアニメの
世界へはいりこむ。中年の私は、落ちモノは苦手。


・デューン砂の惑星(1984年/米)
  監督:デビッド・リンチ
  男優:カイル・マクラクラン

  「思考には一定の音がある。
   ある形をした音だ。」
スタートレックの好きな人が好きそうな映画。
砂漠の惑星(デューン)を舞台に繰り広げられる勢力争いと
若き救世主の活躍を描いたSFアクション。
監督はデイヴィッド・リンチ、音楽はTOTO、そしてあの
スティングが出演。大作で巨大な制作費を使っていそうだ。
だがだが。

砂漠に住み着く体長450メートルの巨大な砂虫は一体何を
食べてるのか? ”スパイス”は砂虫が作り出してる?
あの頭の悪そうなデブのぶつぶつは、直そうとしてるのか
注射で一個一個作ってるのか? 劇場版は詰め込み過ぎの
感があり全体的に説明不足で判りにくいとこが多々ある。
そういうことにこだわらず、ただ受けとめ楽しめばいいの
だろうが。

スティングの妙な色気と、生意気そうな超能力者のチビが
印象に残る映画。


・007/ダイ・アナザー・デイ(2003年/英,米)
  監督:リー・タマホリ
  男優:ピアース・ブロスナン
  女優:ハル・ベリー

朝鮮半島の軍事境界線。北側の大佐暗殺任務で捕えられた
ボンド(ピアース・ブロスナン)は監禁され激しい拷問を
受ける。14ヵ月後ボンドはムーン大佐の部下、ザオと交換
され釈放された。だが自由の身となったボンドは諜報部員
の資格を剥奪されてしまう。自らの名誉を守る為ボンドは
ザオを追ってキューバへと飛んだ・・・

007シリーズはこれが初めて。今まではまったく食指の動
かないタイプの映画だが、今回はマドンナ歌う主題歌のク
ールさと、なんといってもボンドガールのハル・ベリー!
それだけで見に行った。(ソードフィッシュといいチョコ
レートといいハル・ベリーにかなりべた惚れ。当分は彼女
を追ってのDVDロードが始まる予感)

何十作となく続けられ指示される映画には、大がかりな
エンタメ映画というだけでなく細部にもそれだけの魅力が
あるということがよく判った。食わず嫌いは駄目ですね。
(でも私的には、ブロンドでグラマラスなボディの女が、
ボンドガールなら、やはり今回のような評価はない。)

ボンド自体(役者も含めて)にはあまり魅力を感じなかった
のだが、個性豊かな敵役や、出てくる小物の数々がそそる。
褐色のジンクスを肌を彩るヴェルサーチのピンク、クール
ビューティなフロストがまとっているのはスワロフスキー
のクリスタル。ボンドの靴はやはりチャーチで、グレーブ
スにはD&Gとプラダと、それぞれの個性をさらに浮き上が
らせ際立たせるファッションのセレクトもおもしろい。
(となると、ザオの顔に埋まってるダイヤは?)

ボンドが乗っている、透明になり見えなくなる車@アスト
ロマーチンもいいが、ザオの乗るトランクに追撃法を内臓
@ジャガー、誰か買ってください。グリーンでなくシルバ
ーならかなり欲しい!香港-ハバナ-イギリス-アイスランド
という魅力的な街で街で起こる数々の決闘は、壊し具合も
サウンドも気持ちよく、「映画館」で見たいと思わせる。

観客はハラハラドキドキし、そして最後はほっとする。ど
んな危険にさらされても目的は必ず成就するしハッピーな
ラストで終わることを観客達もちゃんとわかっているのだ。
まるで「スケールが大きくでファッショナブルな水戸黄門」
そして日本人も世界もきっと”こんな話”が大好きなのだ。
007が毎回大きく取り上げられる理由が、いまさらながら、
理解できる。

ところで、マドンナが出演してるのは一体どこなんだろう?


・ピンポン(2002年/日)
  男優:窪塚洋介、ARATA、中村獅童

  「おかえり、ヒーロー」

天真爛漫で自信家のペコ(窪塚洋介)は、めったに笑わず
他人を寄せ付けないスマイル(ARATA)にとってヒーロー
そのものである幼馴染み。子供の頃から近所の卓球場に通い
才能もあるが、高校の卓球部では2人ともほとんど練習する
ことなくぶらぶらする毎日。そんな中ペコは、上海からきた
留学生チャイナに完敗。そしてインターハイが始まる・・・

夏木マリ、もうどうしても”湯婆ーば”に見えてしまう。
ドラゴン役の風間竜一(中村獅童)がいい。どこまで本人
がやってるのかわからない卓球シーンもおもしろい。地味
に見える卓球というスポーツを、ペコの「俺って天才!」
なキャラや怖すぎて笑える海王学園の皆様、キャプテンの
ぽそっと言うセリフ等々が、身近でちょっと可愛い感じに
見せてるけど、ポイントポイントにヒトの弱さや男同士の
しがらみがかいまみえ、そこが好き。(アクマとドラゴンが
トイレで交わす会話とか)
自分の中に「生身のヒーロー」が存在するということは、
とても幸せだ。監督もいってるように「ヒーローの輝きを
見つめる続けることで自分自身も輝く」。あぁ、だから、
”星野”と”月本”なんだ・・・。対極にいる二人だから
なおさら、お互いを照らしあう。

世界へ出してもちっともウけないだろうな。でもけっこう
好きなタイプの話。